News & Topics:2020年07月掲載分
理科教育講座 星博幸教授が「日本地質学会論文賞」を受賞しました。
2020年07月 1日
本学の理科教育講座 星博幸教授が,2020年度「日本地質学会論文賞」を受賞しました。日本地質学会は会員数約3,500人の日本の地質学分野を代表する学会です。
受賞の対象となった論文は「星 博幸, 2018, 中新世における西南日本の時計回り回転. 地質学雑誌, 124, 675-691」です。「日本列島がどのようにして出来たか」は地質学において古くからの研究課題でしたが,もとはアジア大陸の東縁にあったものが,西南日本は時計回りに,東北日本は反時計回りに回転しながら大陸より分かれて出来,それに伴い日本海が拡大した,と言われています。当論文は,過去25年間に報告されたデータをレビューすることにより,西南日本について,その回転がいつ,どの程度,どのくらいの速さで起こったのかを解析したものです。
解析に使用されたのは,論文で公表された西南日本各地の「古地磁気」のデータです。地球は,方位磁石で方角が知れることからも分かるように磁気を帯びています。これを「地磁気」と言い,岩石はその生成時に地磁気の向きを記録します。このため,古い地層にある岩石の地磁気の向きを調べ,現在の地磁気の向きと異なっていた場合,その土地の回転を知ることができます。星教授が地層の年代とその古地磁気の方向のデータを解析した結果,回転は1800万年~1600万年前の岩石で見られ,従来は1500万年前頃に起こったと考えられてきた西南日本の回転がそれより100~300万年前の間に起こったことが分かりました。大地の動きや海水の流入は気候状態に大きな影響を与えるため,この結果は古環境を理解する上でも重要なものとなります。
星教授は今回の受賞を受け,「日本を代表する地質学の学会に研究が認められたことはうれしく,これからもこれを励みにしていきたいと思います。本学は教育大学ですので,知識を若い世代に伝える人を育てています。これからの教育に携わる人に,知識がどのように作られるのか,更新されるのかを研究を通じて知ってもらいたい,その意味でも頑張って研究していきたいと思います」と話しています。
(広報課 副課長 古田紀子)
2020年6月分 本学掲載の新聞記事紹介
2020年07月 7日
2020年6月に掲載された新聞記事は7件,テレビ番組は3件,ラジオ番組1件,雑誌は2件です。
このほかに紹介された記事等あれば広報まで情報をお寄せください。
新聞記事
- 東海3県の自治体が,インターネットを活用した授業の実施状況を調査した記事で,教育ガバナンス講座の江島徹郎教授のコメントが掲載されました。
【6月1日(月) 朝日新聞朝刊23面】
- 岐阜県瑞浪市の市道工事現場で貝の化石が大量に含まれる地層が露出し,理科教育講座の星 博幸教授が瑞浪市の市化石博物館の学芸員と共同で調査を行いました。
- 中日新聞社と愛知教育大学の共同研究で,「新聞切り抜き作品コンクール」などを通じた教育効果について研究結果が発表され,情報教育講座の梅田恭子准教授のコメントが掲載されました。
- 名古屋市の南陽高等学校で,本学広報課によるインターネットのビデオ会議アプリを活用したキャリアガイダンスが行われました。
- 愛知県NIE推進協議会の総会が6月23日(火)に行われ,会長を務める社会科教育講座の土屋武志教授のあいさつの内容が掲載されました。
【6月24日(水) 朝日新聞朝刊19面】
【6月24日(水) 毎日新聞朝刊17面】
- 岐阜県大垣市の市民団体「みんなの未来をつくる会」が7月12日(日)に開催を予定している教育をテーマにしたオンライン対話の会で,本学の非常勤講師上井靖氏が進行役「ファシリテーター」を務めることが紹介されました。
- 「十代十色」の企画記事で学習支援?ボランティアとして活躍している養護教諭養成課程2年の今井彩寧さんが紹介されました。
テレビ番組
- 6月11日(木)放送 NHK名古屋放送局「まるっと!」
「学校再開後の教員の負担問題」について,教育ガバナンス講座の風岡 治准教授のコメントが放送されました。
- 6月17日(水)放送 ケーブルテレビ「KATCH TIME30」
「コロナ逆境でも難病の子に笑顔を!」と,クラウンとして活躍する本学の非常勤講師 大棟耕介氏が紹介されました。
- 6月24日(水)放送 メーテレ「アップ!」
特集「地域の今」シリーズ「コロナ禍をこの地域で生きる―進むリモート授業の課題と可能性―」と題して,生活科教育講座の加納誠司教授が遠隔授業を行う様子と戸田克己教務課長,大学院に在籍する学生のインタビューが紹介されました。
ラジオ番組
- 6月5日(金)放送 CBCラジオ「多田しげおの気分爽快~朝からP?O?M」
企画コーナー「金曜ゲスト」で,理科教育講座 渡邊幹男教授が生出演し,「竹林」について解説しました。竹の原産地や種類,竹と笹との違いなど興味深い話が次々と展開されました。
情報誌
- 外国語教育講座 高橋美由紀教授が下記の雑誌に書評を寄せています。
「多文化社会に生きる子供の教育」―外国人の子ども、海外で学ぶ子どもの現状と課題― 佐藤郡衛 著 (明石書店)
- 特集「愛知教育大学活動報告」として,「代表者学位記?修了証書授与式」「野田敦敬新学長の紹介」が掲載されました。
【刈谷駅前商店街が発信する地域密着型情報誌「AQUA」Vol.34】
(広報課 広報?渉外係 飯濱美樹)
2020年7月1日 株式会社キャッチネットワークからマスク?支援金等を寄贈いただきました。
2020年07月 8日
株式会社キャッチネットワーク(刈谷市)から,本学の外国人留学生を支援するために,マスク?支援金等を寄贈いただくこととなり,7月1日(水)に愛知教育大学で贈呈式を実施しました。コロナ禍の中,外国人留学生は予定していた日本人学生との交流や地域との触れ合いが十分にできていない状況で,この状況を心配された(株)キャッチネットワークから,マスク2,000枚,支援金100万円の寄贈および留学生との刈谷市紹介番組の制作をご提案いただき,今回の贈呈式となりました。
贈呈式では,最初に(株)キャッチネットワークの松永光司 代表取締役社長より,今回の寄贈について「留学生をなんとか支援できないかと考えました。支援金は,オンラインで留学生に日本語を教え,交流する日本人学生への謝金などに活用していただき,また,刈谷市の案内や歴史などを留学生の現地の言葉で翻訳した多言語コンテンツを留学生と共同で制作することで,母国に帰って刈谷市の紹介をしていただくなど刈谷市と母国との交流になればと思います」と趣旨説明がありました。
続いて松永代表取締役社長から野田敦敬学長への支援金の贈呈,(株)キャッチネットワーク 山田達也 代表取締役副社長から本学留学生代表のラーマ?デヴィ?アマリアさん,ミーチャイ?チャイワットさんへのマスクの贈呈が行われました。野田学長は「心温まる3つのプレゼントをありがとうございます。これにより留学生の生活が生き生きとしたものになればと思います」とお礼を述べました。
贈呈式後には,早速,7カ国8人の留学生と(株)キャッチネットワークの担当者の間で多言語コンテンツ制作のための打ち合わせが行われました。
国際交流の担当者は「今回いただいたマスク?支援金は留学生の支援に有効に活用させていただきます。また,留学生たちは,刈谷市を紹介する多言語コンテンツ制作に参加できることを本当に楽しみにしています。完成したコンテンツは地域に居住している外国人の方々にも活用していただきたいです」と話しています。
(広報課 副課長 古田紀子)
2020年7月17日 全学FD講演会「著作権教育は情報教育である」を実施しました。
2020年07月30日
7月17日(金),一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会専務理事 久保田 裕氏を講師に迎え,第1回全学FD講演会「著作権教育は情報教育である」を実施しました。
平成30年度に著作権法が改正され,教育機関は補償金を支払うことで,著作権者の許諾を得ずに,授業において著作物の公衆送信を行うことができるようになりました。本学でも新型コロナウイルス感染症拡大防止のために,前期授業を遠隔授業で実施していることから,授業実施にかかわる著作権制度について知識を深め,遠隔授業を円滑に推進していくために,当講演会が企画されました。
当日は,次世代教育イノベーション棟での対面での受講のほか,オンラインでの受講も可能としており,対面46人,オンライン67人,合計113人の参加がありました。参加者の数からこのテーマへの関心の高さがうかがえました。
講師の久保田 裕氏は山口大学特命教授,文化審議会著作権分科会の委員等も務める,コンピュータソフトウェアの著作権保護,情報モラルの専門家です。久保田氏は教員養成大学である本学でこの講習会が行われることに,「情報教育とはIT機器を活用することではなく,情報の価値や哲学の伝達をすること。その教育をする必要がある」と意義を話しました。また,著作権法とは知的所有権を利用する際は許諾を得るという法律であり,授業を実施するために著作物を使う権利があるのではなく,例外の権利制限として利用できているということ,教育現場に情報を提供している人たちの生活が成り立たなくなる行為はしてはいけないこと,しかし利用にあたっては委縮してほしくないこと,授業実施にあたって著作権法が使いづらいのであれば民主的な手続きで変えていけばよいことなどを説明しました。
会場やオンライン上の参加者から日ごろの授業における質問が出されたり,久保田氏が会場の参加者に発言を求めたりと,講演会はインタラクティブに進められました。
単なる著作権法の逐条解説ではなく,情報の価値や意味を考える講話であり,また個人情報やプライバシーなど,デジタル情報にかかわる他の権利も絡めて示していただいたことから,参加者の著作権への思索が深まったFD講演会であったと思います。
(広報課 副課長 古田紀子)