2020年7月17日 全学FD講演会「著作権教育は情報教育である」を実施しました。
2020年07月30日
7月17日(金),一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会専務理事 久保田 裕氏を講師に迎え,第1回全学FD講演会「著作権教育は情報教育である」を実施しました。
平成30年度に著作権法が改正され,教育機関は補償金を支払うことで,著作権者の許諾を得ずに,授業において著作物の公衆送信を行うことができるようになりました。本学でも新型コロナウイルス感染症拡大防止のために,前期授業を遠隔授業で実施していることから,授業実施にかかわる著作権制度について知識を深め,遠隔授業を円滑に推進していくために,当講演会が企画されました。
当日は,次世代教育イノベーション棟での対面での受講のほか,オンラインでの受講も可能としており,対面46人,オンライン67人,合計113人の参加がありました。参加者の数からこのテーマへの関心の高さがうかがえました。
講師の久保田 裕氏は山口大学特命教授,文化審議会著作権分科会の委員等も務める,コンピュータソフトウェアの著作権保護,情報モラルの専門家です。久保田氏は教員養成大学である本学でこの講習会が行われることに,「情報教育とはIT機器を活用することではなく,情報の価値や哲学の伝達をすること。その教育をする必要がある」と意義を話しました。また,著作権法とは知的所有権を利用する際は許諾を得るという法律であり,授業を実施するために著作物を使う権利があるのではなく,例外の権利制限として利用できているということ,教育現場に情報を提供している人たちの生活が成り立たなくなる行為はしてはいけないこと,しかし利用にあたっては委縮してほしくないこと,授業実施にあたって著作権法が使いづらいのであれば民主的な手続きで変えていけばよいことなどを説明しました。
会場やオンライン上の参加者から日ごろの授業における質問が出されたり,久保田氏が会場の参加者に発言を求めたりと,講演会はインタラクティブに進められました。
単なる著作権法の逐条解説ではなく,情報の価値や意味を考える講話であり,また個人情報やプライバシーなど,デジタル情報にかかわる他の権利も絡めて示していただいたことから,参加者の著作権への思索が深まったFD講演会であったと思います。
(広報課 副課長 古田紀子)