2017年12月17日 文部科学省 平成29年度学校保健総合支援事業(養護教諭育成支援事業)報告セミナーを開催
2018年01月23日
本学は愛知県教育委員会および名古屋市教育委員会とともに,文部科学省の委託による「平成29年度学校保健総合支援事業(養護教諭育成支援事業)」に取り組んでいます。現時点での調査結果を公表するため,2017年12月17日(日)にウインクあいち(名古屋市)で「養護教諭の専門的力量アップを目指した育成プログラムを考える-養成?採用?研修のネットワークを通して-」と題した報告セミナーを開催しました。
本委託事業は,教員の中でも固有性のある養護教諭の資質向上に資することを目的としたものであり,全国で4団体(本学,弘前大学,長野県教育委員会,滋賀県教育委員会)が採択されています。本学の事業の特色は,愛知県教育委員会?名古屋市教育委員会はもとより,愛知県内の公立学校および私立学校の養護教諭組織,愛知県内の課程認定大学などからなる「あいち養護教諭育成協議会」というネットワークを設置して,養成機関と教育現場と行政が三位一体となって検討していることです。
今回の報告セミナーでは,現職養護教諭のキャリアに応じて拡充すべき研修内容や養成教育の内容などについて三者(養成機関,現職養護教諭,研修指導者)の意見を調査した結果を公表し,今後の取り組みへの課題や要望を集約しました。県外からの参加者を含め,会場が満席となる約150人が参加しました。
セミナーでは,本学の後藤ひとみ学長による開会あいさつと趣旨説明の後,文部科学省初等中等教育局健康教育?食育課の松﨑美枝健康教育調査官から,「養護教諭の専門的力量アップを目指した育成プログラムを考える」と題し,教員としての資質の向上を図るために策定される育成指標や,アレルギー?いじめなど子どもの心身の健康に関する課題に対して養護教諭に期待される役割についての基調講演が行われました。
次いで,本事業で行った「養護教諭の養成教育および研修に関する調査」の結果について本学教職実践講座の浅田知恵准教授が報告しました。
さらに,「養護教諭の育成プログラムについて」と題したパネルディスカッションが後藤学長のコーディネートで行われました。パネリストは3人で,愛知県教育委員会の杉本春美指導主事は「養護教諭の資質?向上を目指して」と題して愛知県教員育成指標(養護教諭)策定の際に本事業の調査結果を反映した部分や今後の研修体系の見直しなどについて述べました。名古屋市教育委員会の森佳世子指導主事は「名古屋市における教員育成指標の作成?活用について」と題し,今後策定される名古屋市教員育成指標の構想と養護教諭が自己評価に活用する意義について述べました。愛知県養護教育研究会の三浦典子会長は,「養護教諭の資質?能力の向上を考える」と題して,愛知県において各地区で実施している研修や主任養護教諭による研修,全県組織としての取り組みについて述べました。
会場との意見交換では,養護教諭のリーダー養成の必要性や私立学校養護教諭の研修保障,経験の少ない養護教諭を学校現場で育てる体制づくり,主任養護教諭の役割などの課題が共有されました。また,養成?採用?研修の一体的な取り組みにおいて,採用時に即戦力となる養護教諭を養成する大学の役割について再認識することができました。
松﨑健康教育調査官からは,育成指標の策定にあたり現職養護教諭と教育委員会と養成大学が連携している先進事例として全国発信したいとの言葉がありました。事後の参加者アンケートでは大変有意義なセミナーであったとの感想と今後への期待が多数寄せられており,平成30年2月末の事業総括では養成と研修をテーマとした養護教諭固有の育成プログラムについてまとめる予定です。
(企画課 大学改革係長 井成浩文)