2016年11月23日 平成28年度教育臨床総合センターシンポジウム「知的障害者?発達障害者の就労支援 -教育?福祉?労働?保護者の連携-」を開催
2016年12月19日
平成28年8月に「発達障害者支援法の一部を改正する法律」が施行され,発達障害者の自立および社会参加への協力支援等,より一層の充実を図ることが求められております。
教育臨床総合センター?そだちの支援研究部門?では,発達支援相談室において学童期の知的障害児?発達障害児の支援を行っており,学校を卒業した後の進路選択も喫緊の課題であると感じています。また,障害者の就労を支援していくには,教育?福祉?労働ならびに保護者との連携がきわめて重要なポイントとなります。そこでさまざまな視点でこの課題を検討していくため,今回のシンポジウムを企画しました。
以上の趣旨を踏まえて,11月23日(水)13:30から本学第二共通棟にて,教育臨床総合センターシンポジウム「知的障害者?発達障害者の就労支援-教育?福祉?労働?保護者の連携-」を開催しました。後藤ひとみ学長からのあいさつ,司会の吉岡恒生教授(そだちの支援研究部門?障害児教育講座)からの趣旨説明が行われたのち,長年障害者の就労に尽力されてきた山﨑尚樹氏よりテーマ全般に関わる基調講演,シンポジストより教育?福祉?労働?保護者それぞれの立場から話題提供がありました。本学教員8人,学生28人,学外者105人(教育49,福祉10,保護者16,行政?医療13,その他17)の計141人が参加しました。
- 講師?指定討論者
山﨑 尚樹 氏(就労移行支援事業所「マーム」所長) - シンポジスト
成澤俊輔 氏(NPO法人FDA理事)-労働?福祉の立場から-
都築正徳 氏(安城特別支援学校 進路指導主事)-教育の立場から-
多久島睦美 氏(NPO法人全国LD親の会 副理事長)-保護者の立場から-
基調講演では,山﨑氏より「障がい者雇用の現状や制度の変化」について説明があり,学校や家庭の連携協力のもと,早期に就職準備を始めることが,「就職自立」「安定就労」の実現に向けて重要であることを学びました。
次にシンポジウムに移り,まず成澤氏よりNPO法人FDAのスタッフには健常者のほかに障がいのあるスタッフもいるため,当事者目線での就職支援等を行っていることが熱く語られました。次に都築氏より特別支援学校の進路状況について説明があり,就労に向けた新たな取り組みとして,保護者を介して支援機関と連携し,学校の支援との関連づけた支援が可能になった事例が紹介されました。最後に多久島氏から全国LD親の会調査にて,高等教育への進学率50%以上,障害者手帳の取得率66%であることが報告され,大人になってから発達障害であることに気づくケースもあり,本人の障害受容が課題となっていることが語られました。
小休憩をはさんで,指定討論者の山﨑氏を中心にシンポジストとの間で,保護者との連携,軽度の障害当事者への告知,障害受容等をめぐって意見交換がなされました。
最後に,教育臨床総合センター長の祖父江典人教授があいさつを行い,シンポジウム全体の雰囲気をまとめました。シンポジウム終了後,聴講者より「大変内容の濃い,ためになるシンポジウムだった」等の声が聞かれました。
(教育臨床総合センター そだちの支援研究部門担当教員 吉岡恒生)
(高度教員養成支援課 教育臨床係長 長谷川由香)