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国立大学運営費交付金の増額と教育系単科大学に対する特別の配慮を求めます!

声明

「国立大学運営費交付金の増額と教育系単科大学に対する特別の配慮を求めます!」

国立大学法人愛知教育大学
学長 松田 正久
2009年11月25日

9月に発足した鳩山新政権に対して、私たちは、その高等教育政策に期待を込めながら注視してきました。国立大学法人発足後、毎年1%の効率化係数により、この6年間、国立大学全体で720億円が削減され、外部資金を得るのが極めて難しい教育系単科大学にあっては、この削減は多大の弊害をもたらしています。大学を運営していくためには、退職後の教職員の補充をやめるしか方法がなく、この6年間に約40人の教職員を削減しているのが実情で、教育課程の履行上も問題が出てきています。

私たちは、高等教育への公財政支出を重視する新政権の政策に希望を託し、国立大学運営費交付金の抜本的見直しに期待し、その政策を注視してきました。しかし、行政刷新会議の事業仕分けの対象として、国立大学運営費交付金が取り上げられ、25日の仕分け作業において、結果として「予算のあり方の見直し」が出され、その理由として「経営改善の余地は大きく、予算の使い方の検証 が必要」とされました。これ以上の運営費交付金の削減は、教育系単科大学にとって、大学の存立すらも危うくする事態であり、大きなショックを受けると共にきわめて遺憾に思います。

本学は、「教員養成を主軸に教養教育を重視する」大学づくりを進め、今春の学部卒業生のうち、約500人が教職に就くなど、質的にも量的にも高等教育の一端を担う大学としての責任を果たしていると自負しています。運営費交付金の「特別教育研究経費」により、理科好きな教員の養成を行うための訪問科学実験、外国人児童生徒のための教材提供や日本語教育などに取り組み、摩擦科学の研究では国際的な研究業績を挙げてきています。このように大学の個性や特徴を出していくための事業費が削減されれば、地域や学校と連携した教育大学としての積極的な取り組みと創造的活動の機能がストップしてしまうことにもなりかねません。

高等教育に対する公財政支出をOECD諸国の平均にまで高めることを基本に、(1)国立大学運営費交付金の効率化係数1パーセントによる削減を即時中止すること、(2)2004年度の法人化時点での運営費交付金水準に計画的に増額すること、(3)教育の機会均等を保障する国立大学の公共的政策に照らし、教育研究の充実と学生生活を保障するための奨学金の無利子貸与?給付制度への切り替えを具体化することを強く要望します。

教員養成に関する民主党マニフェストの「教員の資質向上のため、教員免許制度を抜本的に見直す」とする方針に対して、私たちは、基本的には、教職の高度化?専門職化を進め教員の資質向上を図る見地から賛意を表するものです。その具体的方向に関しては、教員養成系大学?学部の運営と充実に取り組んでいる私たちの意見も踏まえて、その政策化を図られるよう強く要望します。

「持続可能で平和で豊かな未 来を築く人間の教育」を行う高等教育機関として、子どもたちの未来がゆるぎなきものとなるよう、優れた教員の養成を軸に社会で幅広く活躍する人材を養成することが私たちの役割であると認識しています。国においては、この機能を維持充実し、教育系単科大学や文系単科大学に特別の配慮を頂きながら、運営費交付金を増額され、高等教育の充実、とりわけ国立大学の充実を図っていただきますよう、強く要望いたします。

以上


カテゴリ:ニュース|掲載日:2009年11月27日