2024年9月19日 第1回社会教育実践ゼミナール2024を開催しました。
2024年10月03日
9月19日(木)、愛知県生涯学習推進センターで第1回社会教育実践ゼミナール2024を開催しました。このゼミナールは、愛知県生涯学習推進センターと本学の主催によるもので、社会教育主事講習または社会教育主事養成課程を修了した方々が継続的に学び合い、互いの実践を共有することで、新たな実践的知識やアイデアを獲得するとともに、実践者同士のネットワークを形成することを目的としており、社会教育主事講習のフォローアップセミナーとしての役割も担っています。ゼミナールの企画は参加者のうち有志から成る運営委員会で実施され、第1回となる今回はテーマを「地域と学校教職員のつながりづくりを考える」に設定しました。
ゼミナールは本学の中山弘之准教授の司会のもと進行し、まず、本学の大村惠特別教授より、「地域と学校教職員がつながりを深めるために」と題した講演が行われました。講演で大村特別教授は、学校と地域の関係を歴史的に紐解いていきました。近代学校制度は国家の要請として設立され、地域からすると労働力となる子どもがとられる、大都市へ流出する、という対立的な構造であったこと、しかしながら、戦前昭和期から地域の中で子どもをどう育てるか、という視点が生まれ、学校の荒れの克服や土曜日の子どもたちの居場所など地域に支えられながら取り組みが進み、愛知県内でも実践されていることが紹介されました。大村特別教授は、「地域と教職員がつながるためには、地域と学校が子ども像を共有することが重要」と述べました。
講演に続けて2件の実践報告がありました。1件目は瀬戸市教育委員会学校教育課CS統括コーディネーターの舩坂礼子氏から、「コミュニティ?スクール実践における学校教職員とのつながりづくり」として、瀬戸市において9年間かけ、教員ではない立場で実践されてきたコミュニティ?スクール活動について報告いただきました。舩坂氏は「地域の方は子どもや学校とかかわりたいと思っている。学校の先生方がその気にならないと進まない」と述べ、かかわる人のやりがいを探すことが重要、と話しました。そして最初は消極的であった学校の管理職や教員が、地域の人が入ることによって、子どもたちの意欲が伸び表情が明るくなる姿を見て、コミュニティ?スクールにやりがいを感じ、積極的に活動していく事例を、写真や動画を交えながら報告しました。
2件目は名古屋市立小中学校PTA協議会副会長の大関朋子氏から「PTA活動における学校教職員とのつながりづくり」として、母親代表や会長等の立場で活動してきた5年間で、負担感や不満ばかりのPTAから、「そんなPTAならやりたい」と保護者が思う「やりたいが実現できるPTA」へと変革していった実践を報告いただきました。最初は前例踏襲で他人事であったところ、学校管理職を交えた話し合いの中で「本当にやらないといけないことは何か」とスリム化し、その目的や理念を理解していくことにより心理的安全性と主体性が生まれたこと、現在は会員が取り組みたいと感じることをプロジェクトとして臨機応変な形で実施していること、キャリアナビゲーターとPTA会長が連携することで学校と家庭に社会教育のはしごができたこと、が紹介されました。
2件の実践報告を受け、安城市立東山中学校の加藤智和教頭より、「地域に請け負ってほしいことは多いが、どう手をつけていいかわからない状況。教育長や校長などのトップが地域との連携の良さを理解し、舵をとることが必要。また地域の方々と学校が全員で学び、同じ温度感をもつことが重要だと思う」と自身の経験も交えながらコメントをいただきました。
その後、参加者たちはグループワークを実施しました。グループワークで参加者たちは報告された実践事例について、また、それぞれの活動や問題意識について議論し、グループでの討議は多いに盛り上がりました。最後に大村特別教授が、「学校は教員もタテ型、子どももタテ型の社会であるが、学校内の関係性を変え、お互いを尊重しあうヨコの関係にしていくことが重要」とコメントし閉会となりました。課題意識を持った参加者が集って作った今回のゼミナールは、熱気にあふれた有意義な会となりました。
(地域連携課長 古田紀子)