2024年6月12日 令和6年度第1回喫緊の教育課題を学ぶ会を開催しました。
2024年06月20日
6月12日(水)に愛知教育大学教職キャリアセンター教員研修部門が主催する「令和6年度第1回喫緊の教育課題を学ぶ会」を本学の教育未来館で開催しました。今回は県内の小学校教諭、中学校教諭など多数参加され、「確かな学習評価に基づく指導と評価の一体化を目指して」をテーマとして2部構成で行われました。
第1部では、湘南工科大学の尾﨑誠先生より「『主体的に学習に取り組む態度』って何だろう? 」と題しお話がありました。はじめに「主体的に学習に取り組む態度」を『心の風船』に例え、ゆっくりと膨らむように徐々に育てていくものであることが説明されました。そしてこの態度は、関心?意欲、粘り強さ?自己調整、教科でねらう態度の3つに分けることで評価しやすくなること、それぞれに評価しやすいタイミングがあること、評価するために生徒にアウトプットしてもらうための具体的な問いかけ方などを、具体的な事例を基に提示いただけました。全体を通して、生徒の実際の記述を評価する演習があり、実践力として「主体的に学習に取り組む態度」について妥当性をもって評価する考え方を学ぶことができました。
第2部では、群馬大学の紺谷正樹先生より「高校情報科『情報Ⅰ』で学ぶデータの分析方法は、ここまで進んでいる! 」と題しお話がありました。はじめに、2025年1月の大学入学共通テストにおいて国立大学志望の高校3年生全員が「情報Ⅰ」を入試科目として選択することを挙げ、統計教育(データサイエンス)を素養として学んだ人たちがこれからの社会をつくっていくことを認識する必要性を説明されました。これまで以上にさまざまなデータサイエンスの分析方法を学習評価に取り入れることが喫緊の課題となる話がありました。その上で、「情報Ⅰ」の学習内容として、テキストマイニング(※1)で抽出された分析情報の見方や相関関係の分類などの紹介がありました。加えて、単位の違う身長と体重の数値を合算できないことを例に、観点別の評価を合算することの是非についての示唆をいただきました。また、国立教育政策研究所が示した「主体的に取り組む態度の評価のイメージ」の散布図を用いた評価方法は、これまでの学習評価をブレークスルー(※2)するものであることを強調されました。参加者は、学習評価にデータサイエンスを生かす時の留意点を学ぶとともに、データサイエンスを学んできた未来の先生が身につけている分析方法に参加者一人ひとりの経験値(かん?こつ?てま?ひま)を掛け合わせることこそが、「指導と評価の一体化」の理想であることを実感していました。
次回の研修会は、「AIを活用した学級?授業づくり」をテーマに8月28日(水)の開催を予定しています。
※1 テキストマイニング...大量の文章データ(テキストデータ)から、有益な情報を取り出すことを総称してテキストマイニングと呼ぶ。
※2 ブレークスルー...困難な状況や問題を突破し、新たな進歩や発見を達成することを指す言葉。
(教職キャリアセンター 教員研修部門 永江智尚)