2023年11月21日 令和5年度第3回喫緊の教育課題を学ぶ会を開催しました。
2023年12月04日
11月21日(火)に愛知教育大学教職キャリアセンター教員研修部門が主催する令和5年度第3回喫緊の教育課題を学ぶ会をJPタワー名古屋にて開催しました。この研修会は「『学びに向かう力』を引き出す授業デザイン」をテーマとして、名古屋市立神宮寺小学校教諭 日比野 浩規 先生、名古屋市立桃山小学校教諭 石田 典之 先生よりご講演いただき、北海道教育大学教授 藤川 聡 先生に総括をしていただきました。今年度3回目となる今回の研修会には、県内の小学校教諭、中学校教諭をはじめ計18人が参加しました。冒頭では、教職キャリアセンター教員研修部門長の磯部征尊准教授が主催者あいさつおよび本研修会の趣旨について説明を行いました。
主催者あいさつに続いて、椅子を円形に配置して座り、アイスブレーキングも兼ねて、あだ名を呼びながらタオル(ボールの代わり)をパスしてつなげていく活動を行いました。参加者全員にパスがまわるまで1分35秒かかっていましたが、「より短くするにはどうすればよいか?」という日比野先生の問い掛けに、参加者が考えて意見を出し合いました。このような目標と現状の理解をしたうえで、目標に向かって考えていくプロセスが、学びに向かう力のイメージであるとして、参加者に共有されました。初めは固い雰囲気でしたが、次第に緊張が和らいでいきました。
次に、石田先生から1時間の授業の中で学びに向かう力を引き出す授業の一部を行っていただきました。学びに向かう力を引き出すために、「解決できそう!」という思いをもたせたり、「あれ?」「どうして?」という問いをもたせたりすることが大切であるとお話しいただきました。そして、その具体的な問い返しの方法もご教授いただきました。6年生の算数における「場合を順序よく整理して」の例を挙げ、授業の導入において、子どもたちが調べてみたい、確かめてみたいという気持ちを引き出し、学びに向かう力を引き出す実践をご報告いただきました。
続いて、日比野先生から単元を通して学びに向かう力を引き出すことについてご紹介いただきました。3年生の総合的な学習の時間における「香流川博士になろう!」において、子どもたちに偽の情報を提示し、疑問をもたせたうえで、今持っている知識では真偽を確認できないことから調べる必要感が生まれ、調べたいと思うようになるという実践をご紹介いただきました。また、4?5年生合同のドッジボール大会の時に、ドッジボールコートをきちんとかくための課題を児童から挙げてもらい、各課題の解決に向けての難しさや解決するために必要な時間から議論し、解決する順番を考えるという実践をご報告いただきました。さらに、教室環境から引き出す学びに向かう力については、児童同士の対話を促すために向かい合った座席配置にする工夫や、サークル対話を行えるサークルゾーン?集中して作業や学習に取り組める集中ゾーン?グループでアイデアを出し合ったり、協働作業を行ったりできるミーティングゾーンなどを設ける工夫をご紹介いただきました。
最後に、一人一人の才能や学びに向かう力を引き出すには、マルチプルインテリジェンスの考え方を基本に、自己分析させ、他者のことについて理解し、互いの才能を生かしていくことが重要であるとお話しいただきました。
2人の先生によるご講演後、藤川先生より、Weinerの帰属理論や市川伸一先生の教訓帰納をご紹介いただき、失敗時や成功時の学びに向かう力についてお話しいただきました。研修会後のアンケートでは「講師の先生の提案内容が非常に面白かった」「体験を含めた内容で分かりやすかった」「授業づくりの大切なポイントについて、体験を交えながら分かりやすく学ぶことができた」などの感想が寄せられ、有意義な研修会となりました。
次回の研修会は、「プログラミング教育をもっとかんたんに」をテーマに12月6日(水)の開催を予定しています。
(教職キャリアセンター教員研修部門 黒川雅幸)