2023年9月27日 全学FD講演会「AI時代の新たな学びについて考える」を開催
2023年10月19日
9月27日(水)に、全学FD講演会「AI時代の新たな学びについて考える」を本学教職キャリアセンターICT活用等普及推進統括部門主催で開催し、本学教職員、学生のほか、全国各地の教育関係者およそ250人が対面?オンラインで参加しました。
「ChatGPT」に代表される生成AIの急速な発展により、教育の分野においてもAIの活用場面が増え、教材?学習支援ツールもさらに進化することが予想されています。このような動きを踏まえ、文部科学省は7月4日に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を公表しました。本企画は、教育情報化の最新動向について理解を深めるとともに、AI時代の新たな学びについてより深く考える機会とするため、全学FD講演会として実施したものです。
講師には、上記のガイドライン策定にあたり、書面ヒアリングや中央教育審議会デジタル学習基盤特別委員会委員としてかかわられた、東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也教授と、文部科学省初等中等教育局視学委員GIGAスクール戦略担当であり、本学教職キャリアセンターに所属する中川哲客員教授を迎え、県内外の教育関係者にも声を掛け、後日視聴希望者も含め、600人を超える申し込みを受け付けました。
堀田教授からは、「我が国の初等中等教育の教育情報化の最新動向」をテーマに講演いただき、今後の社会と求められる資質?能力についての解説の後に、現行の学習指導要領と令和3年1月26日の中教審答申「令和の日本型学校教育」で目指す「学び」について説明があり、どのような学びがはじまっているのか、現在の教育現場で子どもたちが学習する様子を動画を交えて紹介され、これからの課題として、学習の基盤となる資質?能力の一つに位置づけられる「情報活用能力」を鍛えることの重要性や、学力向上のためにはICT活用だけでなく授業改善も一体的に行う必要性をあげ、積極的な校務の情報化の推進はGIGAの授業改善にもつながると話されました。
中川客員教授からは、「教育における情報の活用について考える―情報とAIを活用した教育の挑戦」をテーマに講演いただき、現代社会において情報量が増加していく仕組みと大量のデータを生かすAI技術が進化していくまでの変遷についての解説の後に、判定機としてのAIの事例としてプログラミングの授業で被写体を認識させて言葉とひも付ける様子を、生成機としてのAIの事例としてChatGPTを実際に操作する様子の紹介があり、教育でAIを扱う場合には、適切でない例と活用が考えられる例を理解し、特に校務では積極的に活用してほしい、また、今後子どもたちに対する情報リテラシー教育がますます重要になっていくと課題を述べられました。
また、ゲストでお呼びしたきみそら共育研究所の田上誠悟氏に、両講演のまとめをグラフィックレコーディング(会議や講演などでの議論や説明を、絵や図形などのグラフィックを用いて視覚的?直感的に分かりやすくリアルタイムにまとめる手法)で行っていただきました。まとめあげた内容を10分弱で解説する情報活用の在り方には、会場の参加者から驚きの声があがりました。
講演会終了後のアンケートでは、参加者から「これからの時代を生きる子どもたちの教育について、方向性を示していただき、どうしてデジタル機器を使う必要があるのか探究学習が必要なのか納得感をもつことができた」「VUCA時代を生きていく人間を育てるための『現在の教育』であり、多くの学校に大きな転換が必要な時期であると再認識した」「よくわからないものを遠ざけるのではなく、近くにおいて適切に接することの重要性を学んだ」という感想を含め、たくさんのコメント、反響がありました。各地からご参加いただきましてありがとうございました。情報量が増加するVUCAの時代に、ともに学び、考えを深める一助となるような研修を今後も企画していきます。
(教務企画課 教育高度化支援係 係長 小笠原有香)