2023年3月15日 障害学生支援に関する理解啓発講演会を開催しました。
2023年03月23日
3月15日(水)に本学の次世代教育イノベーション棟AUEカキツバタホールにて、障害学生サポート委員会?障害学生支援室主催の「障害学生支援に関する理解啓発講演会」を開催しました。
講師として桜花学園大学の副学長?保育学部教授の柏倉秀克先生をお招きし、「特別な配慮を必要とする学生の修学支援の在り方について~発達障害等の学生を中心に~」と題してご講演いただきました。
年度末の慌ただしい時期でしたが、野田敦敬学長をはじめ70人を超える教職員?学生が集まりました。
柏倉先生は文部科学省の「障害のある学生の修学?就職支援促進事業」の委員も務められ、大学における修学上の合理的配慮の提供事例に精通されています。
今回の講演では、日本学生支援機構の調査資料等をもとに、(1) 障害のある学生、とりわけ病弱?身体虚弱、発達障害、精神障害の学生が増えていること、(2) その数は国の障害者差別解消法の施行(2016)に伴って増加していること、(3) 国公立大学は差別解消のための合理的配慮の提供が義務付けられていること等の基本事項を踏まえたうえで、特に合理的配慮の提供に伴う「紛争に関する調整機関の設置」の遅れについて指摘がありました。また、国連の障害者権利条約批准に向けての国内法の整備について概観した上で、2024年の改正障害者差別解消法の概要を解説いただきました。
次いで、大学における主に修学上の合理的配慮提供のフローを明確に示していただきました。大学としてはシラバスの点検等を通して、講義の内容や評価について障害への配慮がなされているかを丁寧に確認する必要があり、その情報を可能な限りウェブサイトで明示するよう指摘されました。つまり、合理的配慮は教育の本質を変更することなく、修学の機会と方法の公平性を担保することが重要と解説されました。入試における面接試験、講義におけるプレゼンテーションやグループ討議について合理的配慮提供の意思表示がなされた場合、面接試験やプレゼンテーション等の目的を、アドミッションポリシーやディプロマポリシーと突き合わせて検討し、建設的な対話を通して実現可能な合理的配慮事項を決定することが求められると示唆していただきました。さらに評価に際して、合理的配慮を行ったうえでの公平性について、その評価基準等の妥当性も十分検討する必要があることも示されました。例として講義に休まず出席するまじめな学生だから単位を認めるのではなく、その講義で求められる学修成果の達成をもって評価することの重要性を強調されました。
質疑応答では、障害学生支援を担当する職員の雇用形態や、知見の蓄積のための方策について質問がありました。柏倉先生からは、(1) 多くの大学で担当職員が非正規雇用のため専門性の維持とノウハウの蓄積が危ぶまれていること、(2) 一部、専門性を担保すればアウトソーシング(臨床心理士等)も有効であること、(3) 理想としては正規職員を配置して長期にわたる支援体制を構築することが望ましいとの回答をいただきました。
本学の障害学生支援の今後の在り方を考える意義深い講演となりました。
(障害学生支援室 吉村 匡)