2019年9月24日 「通常学級におけるICTの活用の可能性を探る~発達障害の可能性のある児童生徒等に対するICTの効果的な活用とは~」を開催
2019年10月04日
9月24日(火)に,教育未来館 多目的ホールにおいて,文部科学省より受託している「発達障害の可能性のある児童生徒等に対する教科指導法研究事業」の一環として,講演会を開催し,教職員や本学学生ら,75人が参加しました。
講師には,日本福祉大学の金森克浩教授を招き,「通常学級におけるICTの活用の可能性を探る~発達障害の可能性のある児童生徒等に対するICTの効果的な活用とは~」というタイトルでご講演いただきました。金森先生は,これまで国立特別支援教育総合研究において,ICT機器をはじめとした支援機器?支援技術(AT:アシスティブ?テクノロジー)に関する研究を進められ,全国各地で講演をされています。
講演前半では,「平等」や「公平」とはどういうことか,一方で「過剰な支援」とはどのような状況をさすのかを確認後,学級全体に対する指導の工夫としての「基礎的環境整備」,学習に困難を抱える児童生徒への「合理的配慮」としてICTを活用することについて考えました。実際にタブレット型端末を授業に取り入れたことで,読みや書きに苦手さをもつ児童生徒が,学びに参加できるようになった事例を紹介いただき,ICTを活用することで,学びの質が劇的に変わることを実感させられました。同時に,読みや書きに苦手さのある児童生徒の「学ぶ権利」を通常学級において保障することの重要性を再認識させられました。
講演後半の演習では,「読む」?「書く」?「計算する」など,ニーズ場面に応じて活用できるアプリを紹介していただきました。そして,実際に「学習者用デジタル教科書」の読み上げ機能などを体験したり,カメラ機能との連動でオリジナル本をすぐに作れるようなアプリを使ってみたりし,学校現場における活用のイメージを広げることができました。
今回の講演を通して,①児童生徒一人一人の学習スタイル(学び方)の違いを認めること,②診断がなくても,いま困難がある児童生徒には,ICTを積極的に活用すること,が今後,通常学級において,ますます必要であるという認識を持ちました。「困った子ども」ではなく,「子どもたちは困っている」と考えることで,ICTの活用を含めて,必要な支援が見え,解決の糸口見えてくるのではないでしょうか。
(「発達障害の可能性のある児童生徒等に対する教科指導法研究事業」
学内委員?特別支援教育講座 講師 小倉靖範)
(企画課 教育企画室)