2017年1月25日 「新しい学校ビジョンと専門職協働-教育支援専門職養成課程に期待すること-」というテーマによるFD講演会を本学で開催
2017年02月07日
1月25日(水) 第一共通棟201教室において,教職キャリアセンター主催のFD講演会を開催し,教職員?大学院生?学部生?教育行政職員?学校職員ら81人が参加しました。
講師に国立教育政策研究所の藤原文雄氏を招き,「新しい学校ビジョンと専門職協働-教育支援専門職養成課程に期待すること-」というタイトルで講演を開催しました。藤原氏は「中教審」の作業部会の専門委員として「チーム学校」の政策にも深く関与され,また,イギリス等をフィールドとして教員以外の学校スタッフや学校事務職の役割に関して数多くの研究論文や出版物を刊行してこられた方です。
講演において,氏は「チーム学校」の求めるものは,子どもと向き合う時間を確保するために教員の勤務負担を軽減すると同時に,教育水準と課題解決能力を向上させていくという「二兎を追う政策」であると話されました。世界は,すでにこの潮流のなかにあり,学校には教員以外のたくさんのスタッフが入っています。
日本は教員が抱える仕事が多すぎると言われていますが,氏によれば,それは,学校の機能が相対的に広い上に,教員の職務が不明確であるからです。この点で日本とよく似た国は韓国ですが,同国は,近年,世界で最も少子化が進んでいる国でありながらも,教員数を増加させ,学習補助員などの配置を促進しているとのことです。
一方で,学校の機能が相対的に広いが,教員の職務が明確であるのがイギリスであると話されました。しかし,昔からそうであったわけではなく,それは1990年代からの教員の業務負担の軽減のための努力の結果と言えます。例えば,同国では,1998年に教育雇用省が「教員がしなくてよい業務」25項目を通知していますが,そのなかには試験監督や欠席確認,児童生徒データーの管理などと並んで,他の教員の補充業務(をしなくてよいこと)が入っています。つまり,教員は,職場に気兼ねすることなく,安心して休むことができ,ワークライフバランスを保つことができるということです。実際,同国では,教員を助けるサポートスタッフの数は2000年以降3倍に増やされています。同時に,「チーム学校」は,チームメンバーが互いをリスペクトすることで初めて成り立ちますが,同国の学校事務長(School Business Manager)が予算面から学校長に対してズバズバとものを言うというお話はとても興味深いものでした。
いよいよ今春から,本学は教員養成課程と教育支援専門職養成課程の2本の柱で大学教育を展開していくことになります。今後,本学の発展にとっては,両課程の相互理解と協働性が強く求められるところですが,この新課程のスタートにあたって,藤原氏のお話からは,教職員一同,大きな励ましをいただくことができたと思っております。
(教育支援専門職養成課程?教育ガバナンスコース代表 松原 信継)
(研究推進部 高度教員養成支援課 高度教員養成総務係)