2014年7月16日 松本昭彦副学長が全日肖展で参議院議長賞受賞(インタビュー)
2014年08月11日
本学の松本昭彦副学長(入試担当,美術教育講座教授)が「第61回全日肖像展」(全日本肖像美術協会主催)で参議院議長賞を受賞しました。これまでに内閣総理大臣賞,文部科学大臣賞,衆議院議長賞を受賞し,主要4賞を制覇して全国で4人目の快挙です。松本副学長に喜びの声を聞きました。
―受賞おめでとうございます。昨年の衆議院議長賞受賞の際,「あと一つで4賞制覇」とお話されたとおりになりましたね。
その時は,初の4賞受賞になるかと思っていましたが,調べてみたら4人目,特賞を含む上位5賞受賞は3人目。それでも,この4月からは副学長の業務もある中で時間確保して作品を制作?出品して,目標が達成できてよかったです。今後は,審査員の立場で展覧会と関わっていくことになります。賞はなくなりますね(笑)
―多忙な中,どのように制作時間を捻出してモチベーションを保ったのですか。
2月末に取材,3月からキャンバスの地塗り,下絵づくり,4月から制作,6月半ばに完成,22日に審査でした。1日の中で制作時間を確保するため,朝5時~夜11時のうちの授業や会議などの拘束時間を除いた時間を手帳にマーカーで印を付けてスケジュールに組み込みました。平日は1日6時間,日曜日は16時間の時もありましたね。モデルは本学に留学していた韓国からの留学生で,彼女がお世話になった知人からの手紙を手にしている姿。手を伸ばせば腕をつかめるぐらいのリアルさに,こだわりました。
―写実作品のほか,絵本も手がけてみえますが,写実作品の制作は何が魅力ですか。
自分で8色の絵の具を混ぜて,本物そっくりで,あたかもそこにあるように描けると達成感があります。大学院を出るころ,何を描いていいか分からなかった時期もありましたが,写実は描いていて迷いがない。そこが嬉しいんです。緻密な描写なので楽をしては描けないのですが,その分,達成感?満足感がある。面倒くさい向こう側に喜びがあります。また,展覧会に出品している人は,一人ひとり写実に描いているんですが絵が違うのは,資料の見方が違うから。例えば,僕は陰に緑や青を感じて混色しました。フェルメールの作品がそうです。人によって資料の見方や意識,行動が違う。そこに写実にはまだ可能性があります。
―では,今後も絵本やイラスト,写実を平行して制作活動を続けていかれるのですか。作品発表の予定は。
1年の半分以上はイラスト,4月ぐらいから肖像画というサイクルですね。何か一つだけより楽しいから。20代はイラスト,30代前半は鉛筆で細密画。在外研究員として滞在したアメリカから戻ったころは抽象画,その後,アンドリュー?ワイエス的な写実画,昨年からフェルメール的な写実画へ変遷。細密画を描いて根を詰めすぎて心臓病になったんで,何か一つだけをやっていると体を壊すんです(笑)。今秋10月16日~26日には,刈谷市の芝舟画廊で個展をします。多くの人ににぎやかに,作品を見てもらいたいですね。
(インタビュー:秘書広報課 小林則子)