第4回レポート 「学生が地域と共に学び育つ教育の創造に向けて -Part4-」
会場 | 名古屋商工会議所 第五会議室 |
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日時 | 2009年3月14日(土)13時~16時30分 |
主催 | 国立大学法人愛知教育大学 |
後援 | 愛知県教育委員会,名古屋市教育委員会 |
内容
開会あいさつ
本フォーラムの開催にあたり主催者を代表し,本学松田正久学長から開催のあいさつがあった。
松田正久学長によるあいさつ
第1部 司会 本学理科教育講座 澤 武文教授
特別講演 | 13時10分~14時30分 |
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講演者 | 高柳 雄一 氏(多摩六都科学館 館長) |
タイトル | 「自然に親しむ≠科学に親しむ?」 |
講演は,「自然をどう考える?」,「科学をどう考える?」といったことから自然=雑音と信号の世界,科学=信号で構築された理論やモデルの世界としてとらえ,主に理科教育の場としての自然と科学などの観点から講演いただいた。科学の歴史は雑音の海である自然から信号を探し構築することである,またリアルな世界とヴァーチャルな世界にギャップがあることを伝えていくことが自然を使った教育をするうえで大事な視点である旨,述べられた。またフロアからだされた質問に対して,ヴァーチャルの世界ではすべてが情報であり雑音である,リアルな世界は雑音の中から情報を探せる世界であり,情報を探す営みこそ生きるということである,ヴァーチャルばかりの世界では生きる力を失う,生きる力は自然の中にあるなどの講師の見解が述べられた。
第2部 司会 本学理科教育講座 児玉 康一教授
講演 | 学生による実践報告 14時30分~16時 |
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タイトル | 「科学教育出前授業等による学生自立支援事業」 |
1. 訪問科学実験(理科)
取組の目的,特徴,活動方法及び実践内容について報告が行われた。実践はイベント形式と講座形式があり,今年度,各学校等からは40件の申し込みがあり,31件の実践が実施(予定1件含む)された。
実施後,学生からは子供の反応にやりがいを感じたり,説明の難しさを学ぶことができた等の感想が得られ,有意義な活動となっていると報告があった。また,2009年度の活動方針としては,
- 教材開発?改良(魅力ある科学,身近な科学)
- 実践先の先生と連絡を密にした活動
- 科学の魅力を子供に伝える学生
の3点をあげ,ホームページの開設等積極的な活動をしていきたいと述べられた。
2. ものづくり教育(技術)
今年度開催した「ものづくり教室」(大学版?出前版)や科学?ものづくり@愛教大での活動状況について報告された。出前版では県内11か所で867名の参加者があった旨,報告された。
参加した子どもたちの感想から,ものづくりに強く関心を持ってくれた子どもたちが多くいることがわかり,ものづくりのきっかけづくりができる体験の場を開く意義を感じることができた。また,学生側として,子供にふれる貴重な体験を得るとともに,子どもに教える難しさ,力不足が自覚でき,今後の目標を持つことができた等,学生にとっても有意義な活動となっていると報告があった。
3. 算数?数学合宿授業研究(数学)
取組の目的,特徴,活動方法及び実践内容について報告が行われた。本活動は27年目となり新城市立船着小学校,新城中学校のご協力により2008年9月3日~5日に行われた。
- 教育実習とは違いとびこみ授業である
- 全員参加による授業シミュレーションと授業後の研究協議会
- 学生主体であること
の特徴が述べられた。
この活動から
- 学生の自立,責任感,子供と一緒に学ぶ大切さ
- 授業シミュレーションの大切さ
- 子供に何を学ばせるか目的をもつ大切さ
- 運営面での配慮について
などが学ぶことができ,有意義な活動となっていると報告があった。
4. 天文教育講座(理科)
取組の目的,活動方法及び実践内容について報告が行われた。目的としては一般市民に天文学に親しんでもらい,大学での研究の一端を知ってもらうこと,また学生にとっても知識を語ることで充実感を得ることなどである。主な活動内容は宇宙に関する講座,観望会などで2か月に一度,本学天文愛好会や他大学天文講座関係の学生の協力も得て,実施している。1回平均50~55名ほどの方に参加いただいており40歳代の親と小学生の子供の親子連れの参加が多い。参加者の感想は夜空を見るのが楽しみ,愛教大が身近に感じられたなど概ね良好であった。観望会は参加者数が天気に左右される面はあるが今後も地域の大学としてこうした活動を継続していくことが大切なことと感じる旨,述べられた。
第3部 司会 本学技術教育講座 清水 秀己教授
今後の取組みに向けて | 16時~16時30分 |
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本学理科教育講座 | 岩山 勉 |
特色GPも平成17年度から始まり本年度をもって終了となるが非常に有意義な取組みであり今後この取組をどのように繋げていくかについて理科教育講座岩山 勉教授より私案の段階であるが提案された。今まで特色GPで実践されてきた7つの取組みはそれぞれに独自の取組みを推進してきたのみで全体を組織的に捉えてきてはいなかった。この点を今後は組織的に統括しかつ個々にも発展的継続することを基本的ポリシーとしていく旨,述べられた。4月より設置予定の「科学?ものづくり教育推進センター」の役割については,教育現場で望まれていること,学習指導要領及びその追加事項などによりどのような教員を育てるか,教員に期待されるもの等について確認し,その実現のための具体的な取組みを行う。センターの取組みの具体例として同教授の私案として「理科出前パッケージ教材」(仮称)のようなものを作成,貸出すことで現場教員や学生をサポートできないか,また愛知教育大学独自の教材開発,文系学生のための理科教育のサポートなどの案が述べられた。
閉会あいさつ
閉会にあたり,本学澤武文学長補佐から総括並びにあいさつがあった。
澤学長補佐によるあいさつ
ポスターセッションの実施
フォーラム開催と併せ,会場の後方に各取組の内容を紹介したポスターセッション及び資料展示を行った。持ち帰りできる資料も用意し,参加者に各取組のPRを行った。
ポスターセッション
参加状況
当日は悪天候にも関わらず,ほぼ昨年並みの約70名(国私立大学関係者,公立学校関係者,学生ほか)の方々にご来場いただいた。今回は特別講演を反映して学校関係以外に名古屋市科学館の方もご来場いただき,また県外からも来訪者があり,本取組に対する意識の高さが窺われた。