令和3年度 卒業式 学長告辞

2022年3月23日(水)

過日の報道では、本日が名古屋のソメイヨシノの開花日だそうです。毎年、私が楽しみにしている自然科学棟横?演習棟前の枝垂桜の花は、ちょうど開花しています。いよいよ春本番を感じ、新たなステージに期待感を抱く季節が到来しています。しかしながら、ウクライナでは、市民の皆様が、命の危険と隣り合わせの生活を余儀なくされていることを大変遺憾に思います。

本日、晴れて、卒業ならびに修了の日を迎えた、学部873名、大学院108名、特別専攻科32名、合計1,013名の皆さん、卒業?修了を心からお祝い申し上げます。今日まで皆さんを支えてこられたご家族の皆様も喜んでおられると思います。皆さんの新たな門出にあたり、愛知教育大学を代表して、祝福の言葉を述べさせていただきます。

令和3年度 卒業式 学長告辞

学部を卒業する皆さんは、「平成」から「令和」になる転換期に学生時代を過ごしたことになります。また、一昨年からのコロナ禍では、令和2年度前期は完全に遠隔授業を要請し、部活?サークル活動も控えてもらいましたので、大変な思いをさせましたが、皆さんは、様々な工夫をしたり助け合ったりして各種実習や教員採用試験などの就職活動を乗り切ってくれたことと推察します。このコロナ禍を通して生活様式は一気に変わろうとしています。この経験はきっと皆さんの今後の人生にも生きてくると思います。

さて、今年度、私は、3月1日の附属高等学校を皮切りに、附属中学校、附属特別支援学校、附属小学校、そして17日の附属幼稚園と附属学校園の卒業?修了式に出席しました。そして、どの学校段階においても3年間、6年間の積み上げの上に、卒業があることを実感でき、感激しました。

幼稚園では、園児の瞳は、自信とより大きな舞台となる小学校への期待で輝いていました。保護者の皆様が、我が子が修了証を受け取ると、目頭をハンカチで覆う姿も印象的でした。小学校では、長かった6年間の思い出を振り返り、担任教師への感謝の眼差しと通いなれた小学校を後にする一末の寂しさも少々感じました。中学校では、高校入試がこれからという生徒も多く緊張感がありました。同じ学級で過ごした仲間への強い思い、学校への誇りを感じる場面がありました。そして、高等学校では、本格的な別れを目前にして、自身の将来を見据えた覚悟とこれまで支えてくれた人々への感謝の気持ちを感じました。答辞には私も感激しました。

皆さんも、幼稚園?保育所、小学校、中学校、高等学校の卒業式を経て今日、大学の卒業式?修了式を迎えている訳です。大学院等に進学する一部の人を除くと、多くの皆さんはおそらく人生最後の卒業式となるはずです。ぜひこの機会に、節目節目の卒業のときを振り返ってみてください。その過程で、自分の努力と回りの方々の支えがあったと思います。

教職大学院及び修士課程を修了される皆さんは、大学院を改組した過渡期でした。特に、教職大学院は、定員をそれまでの倍以上の120人とし、コースも増やしました。指導体制も変わりました。旧教職大学院時代に入学し、そのまま残った方、新教職大学院の方に移行した方、思いはそれぞれかと思います。少なからず入学時に想定した環境が変化し、大変な思いをさせてしまったと思いますが、修了までよく頑張ってくれました。また、新しくなった教職大学院に入学した方は、第1期生となります。本学の卒業生は割と少なく、様々な大学を卒業された方々が切磋琢磨できたと思います。2年間で築いた関係を教師になっても大切にしてください。修士課程の臨床心理学コースと日本型教育グルーバルコースの皆さんも、コロナ禍で思うような研究活動ができなかったと思いますが、今後も指導いただいた先生方とのつながりを大切にしてください。

特別専攻科を修了される皆さんは、特別支援教育に貢献したいという思いで入学し、研鑽を重ねられ修了されたことと思います。あとから述べますが、学校現場では特別支援教育の担い手のニーズは高まっています。活躍を期待しています。

次に、本学が現在重点をおいて取り組んでいることについて話します。私が2年前に学長に就任し、「子どもの声が聞こえるキャンパス、地域から頼られる大学」を本学の目指す姿とし、その実現に向けて、ステークホルダーの皆様から意見を聴取し、令和3年3月に中長期ビジョンとして、未来の教育を協働?連携して創造する「未来共創プラン」を策定しました。そのビジョンは、「愛知教育大学は、子どもと共に、学生と共に、社会と共に、附属学校園と共に、未来の教育を創ります」としています。「子ども」とは幼児から高校生までを指し、「社会」とは地域社会、学校、教育委員会、海外の協定校、関連企業等を指します。

このプランの説明と協力の依頼に、県内全ての市町村の54名の教育長の皆様を訪問しました。その方々から教職や教職を支える専門職を目指す本学の学生に大変期待をしており、「協力を惜しまない」「巻き込む、つながるリーダーシップを発揮してほしい」とエールを送っていただきました。また、特別支援教育の充実やICT活用指導力の育成、外国籍児童生徒の支援等の共通の課題のほか、各市町村特有の課題についても共有しました。その期待に応えることができるよう、質の高い教員等の養成に邁進したいと考えています。

今年度もいくつかの取り組みをしました。近隣の子どもたちを対象にした「あつまれ、子どもキャンパス」、ケーブルテレビ局3社や3つの教育委員会、学校と連携し地域や学校の素晴らしさを考える「シンポジウム」、「新たな学び、学校のかたち」と題した書籍の出版などです。皆さんの中にも、これらの企画に協力してくれた方もいると思います。

これらの企画の根底には「教職の魅力」を高めることがあります。これは国立の教員養成系大学としてやらなければならないことです。近年全国的に教員養成系学部?学科の入試倍率は低下傾向にあります。今年度、小学校教員採用試験の倍率は2.6と過去最低を記録しました。本学の教員養成課程の卒業生も教員になる人が約6割です。一方、35人学級が実施されることになり、新たに1万人以上の教員が必要になるとされています。今こそ、社会と共に「教職の魅力」を高め、未来を担う子どもたちを育てることに意欲のある若者を増やしていくことが重要です。そこで、「未来共創プラン」の戦略3として、一昨年8月より「教職の魅力共創プロジェクト」を立ち上げて取り組んでいます。現在、附属図書館入口の「AUEインフォメーションギャラリー」でその成果を展示しています。ぜひ、見てください。4月から教職に就く皆さんは、一人一人の子どものよさに目を向けることを心がけてください。今回は別の道に進む皆さんもほかの職業等での成長を、ぜひ将来、学校教育に活かしてください。教職を支える専門職に就く皆さんは、教員と協働して未来の教育を担ってほしいと思います。

結びに、本学の前身である「愛知県養成学校」が明治6年に設立されていますので、令和5年度には、本学は創基150年の節目を迎えます。記念行事を開催する予定でいます。ますます充実?発展していく母校の様子を、数年に一度は見に来てほしいと思いますし、皆さんが社会で活躍する姿を本学の教職員や後輩に見せてあげてほしいと思います。毎年秋には、ホームカミングデーを開催しますので、ぜひ来てください。

皆さんは、卒業?修了されると私と同様、本学の同窓生となります。どうかここを巣立った後も、本学ならびに同窓会の活動も支えてください。本学での学びを礎に、健康に留意され、教育の未来を共創していく皆さんの可能性に期待して、卒業?修了にあたっての告辞といたします。

令和4年3月23日
愛知教育大学
学長 野田 敦敬

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