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2021年3月23日(火)
キャンパスの桜も開花の時期を迎え、いよいよ春本番を感じます。本日、晴れて、卒業ならびに修了の日を迎えた、学部895名、大学院117名、特別専攻科29名、合計1,041名の皆さん、卒業?修了を心からお祝いを申し上げます。今日まで皆さんを支えてこられた御家族の皆様も喜んでおられると思います。
皆さんの新たな門出にあたり、愛知教育大学を代表して、祝福の言葉を述べさせていただきます。
学部の皆さんは、「平成」から「令和」になる転換期に学生時代を過ごしたことになります。また、昨年3月からのコロナ禍では、前期は完全に遠隔授業を要請し、部活?サークル活動も控えてもらいましたので、大変な思いをさせましたが、皆さんの協力のおかげで集団感染も出さず、教員採用試験など皆さんの進路に関わる場面も支障なく乗り切ることができました。改めて感謝申し上げます。このコロナ禍を通して生活様式は一気に変わろうとしています。この経験はきっと皆さんの今後の人生にも生きてくると思います。
さて、去る3月11日には、死者?行方不明者等を含めると22,000人を超える東日本大震災から10年が経過しました。今なお4万人以上の方が避難生活を強いられていると言います。当時、皆さんのほとんどは小学校6年生で卒業を控えていたか、または中学生であったと思います。今、図書館で遺作展を開催している本学の卒業生である小田太郎さんは、大学4年生になる直前でした。すぐに、石巻市に出かけ復興のボランティア活動を始められました。5月に教員採用試験の願書提出のために一度は愛知に戻られ、またすぐに東北に出かけ、ボランティア活動を続けられたそうです。蒲郡市の教員になられてからもたびたび東北に出かけられました。残念ながら3年前に癌により29歳という若さで逝去されました。今月26日まで図書館にて遺作展を開催していますので、ぜひ見てください。この10年間、起こらなかった年はないくらい、日本のどこかで災害がありました。学校等での防災教育はますます重要になってきます。過日NHKでも放送されましたが、3年前に本学大学院を修了し蒲郡市の小学校教員で東北でのボランティア経験をもつ市川真基先生は、小田さんの遺作の絵本を道徳の授業教材にして、防災や命の尊さを指導されています。これから教職及び教職を支援する専門職に就くみなさんも、小田さんの遺志をそれぞれの立場や方法で受け継いでほしいと思います。
さて、多くの皆さんが入学した平成29年度に学部の組織が大きく変わりました。初等教員養成課程に「生活科選修」と「日本語選修」を設置しました。また、チーム学校という考え方が重要になってくることに伴い「教育支援専門職養成課程」を新たに設置しました。これらの選修?コースでは、皆さんが初めての卒業生、第一期生ということになります。
学部改組と同時にカリキュラムも改革しました。教員養成大学らしい教養科目として、教員に必要な知識と子ども理解を深めるために「教師教養科目」を立ち上げました。中でも、「実践力育成科目」は、全学必修とした1?2年生時の「学校体験活動」、3?4年生時になると、選択必修として「自然体験活動」、「多文化体験活動」、「企業体験活動」を置きました。授業後に実施したアンケートでは肯定的な回答が多く満足度の高さが伺えます。体験活動ですので、多様な人々と触れ合うことができ、きっとそれぞれの思い出があることと思います。
大学院も今年度4月から大きく変わりました。教育に関わる分野はすべて教職大学院へという国の方針もあり、教職大学院の定員を50名から120名とし、これまでの教職大学院にはなかった各教科、幼児、養護、特別支援教育や愛知県の特色である外国人児童生徒支援やものづくりを新たに立ち上げました。したがって、修了生の皆さんは、それぞれの研究科の最後の修了生となります。それぞれの研究科の伝統を心に刻み、先輩諸氏同様に活躍されることを期待しています。私も一先輩として皆さんに期待しています。また、学部卒業の皆さんの中には、教職大学院、あるいは新たな修士課程に進学する人もいます。一旦、社会に出る多くの人もぜひいつか大学院に戻り、各分野の中核となるために自身のキャリアを高度化してほしいと思います。さらに、修士課程を終えた人で研究職を目指す人には、本学の共同教科開発学専攻いわゆる博士課程があります。今回も2人が博士の学位を取得し修了されます。中でも、カンボジア出身のマム?チャンセンさんは、留学生として初の学位取得者となりました。周りの皆様に支えられながらよく努力されたと思います。数多くあとに続く方が出ることを期待しています。
次に、本学の歴史や教育環境についてです。今年度は、それまで名古屋と岡崎にあったキャンパスをこの地、刈谷市井ケ谷町に統合移転して50年を迎えました。3年後の令和5年度には、明治6年に設立された本学の前身である「愛知県養成学校」から数えて150年の区切りとなります。自然科学棟は改築中、今後は美術?技術?家政棟、養護教育棟、保健体育棟が改築されます。設備だけでなく、教育組織やカリキュラムの改革も行われます。ますます充実していく母校の様子を、数年に一度は見に来てほしいと思いますし、皆さんが社会で活躍する姿を本学の教職員や後輩に見せてあげてほしいと思います。毎年秋には、ホームカミングディを開催しますので、ぜひ来てください。
最後に、本学の未来について話します。私は、昨年4月に本学の第13代学長に就任しました。キャッチフレーズ「子どもの声が聞こえるキャンパス、地域から頼られる大学」を掲げました。教員養成系大学ですので、日常的に、刈谷市はもちろん地域の子どもが遠足や社会見学等の校外学習で本学を目的地にしてほしいと思っています。大学近くにありますハイウェイオアシスに令和3年度中に、スマートインターチェンジができると本学までは車で5分です。これで県内はもとより全国とつながることになります。ぜひ、目的地になりうるようなコンテンツを学生や教職員で整備したいと思います。例えば、自然科学棟に行けば、科学のおもしろさを体験できる実験教室、教育人文棟に行けば、歴史教室、図書館ではキッズルームで幼児向け読み聞かせ、美術棟では絵画や彫刻など、音楽棟ではミニコンサート、合唱の指導など、グランドや体育館では、スポーツ系の教室などといったことをイメージしています。子どもたちは、対象への関心を高めるとともに、世話をしてくれた学生に憧れを感じ、学生は教職の魅力を感じる機会となると期待しています。
また、地域から頼られる大学とは、決して上から目線の連携ではなく、課題となっていることを共有し、共に悩み、解決に向けて一体感をもって取り組んでいくということです。例えば、外国籍の子どもたちの指導、特別支援教育などがあげられるかと思います。
もう一つ国立の教員養成系大学としてやらなければならないことは「教職の魅力」を高めることです。近年全国的に教員養成系学部?学科の入試倍率は低下傾向にあります。また、小学校教員採用試験の倍率は2.7倍と過去最低を記録しました。本学の教員養成課程の卒業生も教員になる人が7割を切っています。一方、35人学級が実施されることになり、新たに1万人の教員が必要になるとされています。今こそ、社会と共に「教職の魅力」を高め、未来を担う子どものたちを育てることに意欲のある若者を増やしていくことが重要です。そこで、昨年8月より「教職の魅力共創プロジェクト」を立ち上げて取り組んでいます。
4月から教職に就く皆さんは、一人一人の子どものよさに目を向けることを心がけてください。今回は別の道に進む皆さんもほかの職業等での成長を、ぜひ将来、学校教育に活かしてください。教職を支える専門職に就く人は、教員と協働して未来の教育を担ってほしいと思います。
皆さんは、卒業?修了されると私と同様、本学の同窓生となります。どうかここを巣立った後も、本学ならびに同窓会の活動も支えてください。本学での学びを礎に、健康に留意され、大きく羽ばたかれることを祈念いたしまして、卒業?修了にあたっての告辞といたします。
令和3年3月23日
愛知教育大学
学長 野田 敦敬
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