2023年11月14日 第2回スクールリーダー研修会を実施しました。
2023年11月29日
11月14日(火)に愛知教育大学教職キャリアセンター教員研修部門が主催する令和5年度第2回スクールリーダー研修会を実施しました。この研修会はスクールリーダーシップに関する理論を活用して、その実践である学校マネジメントについての多面的な考察を加えることで、参加者が学校運営において必要となる見方や考え方を獲得し、それぞれの立場に応じたスクールリーダーシップの発揮に結びつけることを目的としています。第2回研修会は県内の学校の校長、教頭および本学教職大学院生らの60人を超す参加者が集まり、「カリキュラムマネジメントとリーガルマインド」をテーマに実施しました。
1講義目では静岡文化芸術大学の倉本哲男教授が、「カリキュラム?マネジメント&リーダーシップ」のタイトルで講義と演習を行いました。倉本教授は最初に「カリキュラムマネジメントの理解が不徹底であることが全国の教育現場に混乱を引き起こしている」と話し、自身の学校現場での経験を交えつつ、さまざまな角度からカリキュラムマネジメントとは何かについて説明しました。倉本教授は、カリキュラムマネジメントの考え方は「一人の10歩より十人の1歩」であり、また、教育の設計図は国が作り、学校教員は教育方法を決めることに特化している日本において、カリキュラムマネジメントとは「設計図の一割を作ってみませんか」という規制緩和であると話しました。そして、配布したワークシートを用いて、各参加者の普段の活動を「1次円:児童生徒への教育実践」「2次円:学校内の組織改善」「3次円:学校外組織との連携体制構築」に落とし込む演習を実施しました。倉本教授は、「カリキュラムマネジメントとは、先生方が普段行っている活動をこのワークのように整理しただけのものであり、誰かがリーダーシップを発揮して、この1次円、2次円、3次円を動かす(0次)ことで完成形となる」と説明しました。
2講義目では岩倉市教育委員会の野木森広教育長が「教員のリーガルマインドと教育課程」というタイトルで講義を行いました。野木森教育長は、「教科書は使わないといけない?」「教育課程を作るのは国?教員?」など、判断が分かれる問題について、実際に起こった事件や事例をとりあげて参加者に問いを投げ掛け、参加者にディスカッションを促しました。参加者たちはいずれの立場が正しいと思うか熱心に討論し、議論が尽きないようでした。ディスカッションの後、野木森教育長は、教育法令の条文などや諸外国での考え方などを参照しながら、対立する双方の立場について解説しました。そして、自身が実践してきた事例を交えながら、「教育法令を理解するということは「よりよい」学校経営のためにできることを探ることである」と述べました。
3講義目では、本学技術教育講座の磯部征尊准教授が「主体的に学び続ける教員集団づくり ―自己調整アプリを活用した教員研修を通じて―」のタイトルで講義を行いました。学校教員が学び続けていくためには、自身の現状を知り、身に付けたい力を明らかにする必要があるという考えから、磯部准教授は自己調整アプリの活用について研究を進めています。今回の研修会ではこの研究により開発した「自己調整シート」を活用して日進市立日進西中学校の河村敏文教諭が学校現場で実践したエンカウンターの結果が発表され、教員が自身の現状を可視化することにより自信や自己調整につながるといった肯定的な結果が表れたことが紹介されました。
全3講義の実施後、研修会のテーマを通して参加者同士のディスカッションが行われ、ディスカッション後には、参加者からの発言や講師からの補足がありました。研修会後のアンケートでは「初めてカリキュラムマネジメントがしっかり理解できた」「視野が広がる学びの時間になった」「意見交換ができてよかった」「来年も参加したい」などの感想が寄せられ、有意義な研修会となりました。
(地域連携課 課長 古田紀子)