第3節 支援体制づくり 1.支援体制づくりの視点 大学の運営方針や予算規模、その他の事情によって、障害のある学生の支援体制はさまざまです。しかし、障害のある学生にたいして適切な合理的配慮を提供し、学生たちのより充実した学びをサポートしていくためには、①相談窓口と専門の支援組織、②教育組織と支援組織の連携、③支援業務従事者の確保という3つの視点から支援体制の充実を図ることが求められています。 2.相談窓口と専門の支援組織 障害のある学生本人が、学生生活における困りごとや合理的配慮の要望などを、いつでも相談できる窓口が必要不可欠です。相談窓口のスタッフは、個々の学生の相談を丁寧に受け止め、本人に困りごとを解消するための助言をしたり、関係する教職員が適切な配慮や支援を行えるように調整したりといった役割を担います。 また、本人から支援の要望があった場合には、どのような合理的配慮をどの程度提供するのか、大学としての方針を個別に検討し、かつ、その内容について本人との話し合いによる合意形成を図る必要があります。そのような機能を備えた、障害のある学生の支援に特化した組織や体制作りが求められています。 3.教育組織と支援組織の連携 障害のある学生の支援は、前述の支援組織だけに委ねるものではありません。障害のある学生が入学した学科?コース?専攻等が責任を持って関わるという考え方も重要です。当該組織のカリキュラムを障害のある学生がどのようにこなしていけるか、授業の履修や卒業等の要件に照らして適切な合理的配慮の内容を積極的に検討?実施することが必要です。 4.支援業務従事者の確保 障害のある学生にたいして的確かつ有効な支援を提供するためには、障害にたいする専門的知識や技術を有する支援業務従事者を各大学で確保する必要があります。手話通訳やノートテイク、テキストデータの作成など、日々の支援業務を担う職員を学内に配置する大学も増えています。また、大学職員のスーパーバイズとコーディネートの下、学生たちが支援の一端を担うケースも多くあります。一方、学術用語を含んだ手話通訳、専門書や試験問題等の点訳、肢体不自由のある学生の身体介助など、学外のリソースの活用が不可欠な場合もあります。